Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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2009年日本国際賞

(2009年4月28日)

 私がまだ大学1年のとき、「Limits to Growth(邦題:成長の限界)」という本を読みました。世界は人口増加と経済成長の道をたどっているが、その持続は不可能である、と警鐘を鳴らす内容でした。快適で豊かなサンディエゴ近郊で育った私は、天然資源の供給に限りがあること、そして自然環境が人間活動から影響を受けることによって、将来、私たちの経済的な豊かさが制限されるかもしれない、と考えてショックを受けました。あのころ、自分たちのライフスタイルを変えることが必要なのかどうか、クラスメートたちと夜遅くまで活発に議論したことを今でも覚えています。その2年後、大学3年生で日本に来たときに、この本が日本でもベストセラーになっている、と聞いたことを覚えています。

 先週、この本の著者の1人、デニス・メドウズ博士とお会いする機会がありました。科学技術分野での貢献が認められ、日本国際賞を授与されることになったメドウズ博士は、授賞式のために日本を訪れていました。

 メドウズ博士は、世界的に有名な科学者の型にはまったイメージとはかけ離れています。まるで「おじさん」のような、紳士然とした方で、日本文化や和食など、幅広い話題に興味をお持ちですが、ご自身の業績にはとても謙虚な方でした。はっきりしていることは、自然と、この地球の能力を尊重するような方法で、各国の経済を発展させ、人々のニーズを満たしていくにはどうすればいいのか、という問題について世界を啓発する仕事に情熱をお持ちだということです。私たちは気候変動の問題を話し合いましたが、その際、博士から、この30年間で多くの時間を無駄にしてしまった、という話がありました。博士は、過去の間違いに愚痴をこぼすより、現状をそのまま受け入れ、科学的根拠のある行動を取り始めるべき時に来ている、とおっしゃいました。

 35年前、メドウズ博士の考えは、まだそれほど受け入れられてはいませんでした。そんな時でも、博士は社会通念に異議を唱えることを恐れてはいなかったのです。自ら選んだ仕事では己に忠実であれ、という博士の助言に私が注意深く耳を傾けたのは、このためです。その日、私は、このような素晴らしい人物と言葉を交わす機会に恵まれたことを名誉に思うとともに、その生涯をかけた業績を称える、素晴らしい賞をメドウズ博士に授与してくれた国際科学技術財団に感謝しました。

ではまた次回。

ジム

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