Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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かき氷

(2009年7月10日)

 私の生まれ育ったカリフォルニア州サンディエゴの夏は、暑くてもからっとしています。ですから、高校生の時に交換留学生として日本で過ごした初めての夏には、この暑さと湿気に慣れるのに苦労しました。当時の私は活発なティーンエージャーでしたが、外に出て行く元気がなくなってしまうほどでした。ある日、お世話になっていたホストファミリーの息子さんが、ぐったりした私の様子に気がつき、日本の夏の「いいもの」を食べさせてあげるからと、近所のお店に誘ってくれました。その「いいもの」とは「かき氷」のことでした。何かとても興味を引かれたので、私もその気になり、散歩がてら連れて行ってもらいました。お店の近くまで来ると、鮮やかな青の「のぼり」がぶら下がっているのが見えてきました。のぼりには「氷」という漢字が1文字、大きく赤い色で書いてありました。この食べ物はきっと何か特別なものに違いない、と思ったのですが、実際、その通りでした。オレンジのシロップがかかった山盛りのかき氷を2人で味わいました。初めてかき氷を食べた時のおいしさと生き返ったような心地を、今でも覚えています。夏のじめじめした暑さを完全に忘れさせてくれました。遠い昔のその日以来、私は、夏になるとかき氷を食べることを楽しみにしてきました。

 この間、私は妻のアンと銀座へ買い物に出かけてきました。アメリカに住んでいる2歳のおいっ子に浴衣を買うためでした。歩き回っているうちに暑くなってきたので、かき氷屋さんを見つけて涼もうと提案すると、妻もすぐに乗り気になりました。私たちは、繁華街を見下ろす2階のお店を見つけました。アンの好きなかき氷は宇治金時。これには抹茶風味のシロップがかかり、あんこと白玉が入っています。私が頼んだのは果物入りのかき氷でした。運ばれてきたのは、バナナ、メロン、モモ、オレンジなどのスライスが盛り付けされ、その上に干しアンズと、一番上にはサクランボが乗ったかき氷でした。2人でこのおいしいかき氷を味わいながら、私は、昔初めてかき氷を食べた時のことをアンに話して聞かせました。

 私たちはまた、オバマ大統領が去年の夏にハワイで休暇を過ごした時、2人の娘たちを連れてかき氷を食べに行ったという話も思い出しました。かき氷は、日本からの移民がハワイに持ち込んだもので、今ではハワイでとても人気があります。私と同様、オバマ大統領にも、少年時代にかき氷を食べた懐かしい思い出があるのではないでしょうか。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

粟飯原さんからのコメント:

 はじめまして。駒場東邦22回生の粟飯原と申します。私は現在船橋整形外科病院で脊椎外科医をしております。邦友メールでこの2-3日、かき氷とジム・ツムワルト様の話で盛り上がっており、私も学生時代、駒場東大前駅近くの店でどんぶりに入ったかき氷を食べた事を思い出しました。私は水泳部だったので、夏休みはほとんど毎日練習で、帰りにかき氷を皆で良く食べました。

 ブログを見せて頂きましたが、実にほのぼのとした文で、心が癒されました。私はこの様な先輩がいらっしゃる事を知り、とても誇りに思いました。つい興奮してメールしてしまいました。

今回の私のブログ記事は、日本経済新聞(2009年7月25日付け朝刊)のコラム記事「春秋」の中で引用されています。同記事へのリンクはこちらです。

弘之さんからのコメント:

 7月10日のかき氷の内容は、日経新聞でも紹介されましたし、私の母校である駒場東邦でも話題になりました。

 さて、日本の夏といえばかき氷だけではありません。花火も欠かせないものです。家族で楽しむ線香花火から大規模で芸の限りを尽くした花火大会まで、日本人は実に様々な花火を楽しんでいます。ズムワルト臨時大使も、アメリカ合衆国のそれとはひと味もふた味も異なる日本の花火を、出来れば浴衣姿でご覧ください。きっと、かき氷の時と同じように、日本の夏を感じていただけることと思います。

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