Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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下田の黒船祭

(2010年5月21日)

 伊豆の下田駅で電車を降りると、侍と町娘が2人ずつ歩み寄ってきて、アンと私を出迎えてくれました。実を言うと、この人たちは、時代劇の衣装を着て、「黒船祭」に訪れる観光客をお迎えしていた下田市民でした。彼ら「役者」さんたちは、写真を撮らせてほしいという求めに快く応じ、ポーズを取ってくれました。アンと私は、彼らと握手もしました。

 私自身が下田でこのような友好的な出会いをしたことで、私は、1854年に下田港へ来航したペリー提督の旗艦「サスケハナ号」から、初めてアメリカ海軍の軍人が日本に上陸した時のことを想像しました。私の経験とは全く違っていたことでしょう。上陸したアメリカ軍人と、下田の(役者ではなく)本物の侍や商人や漁師たちは、お互いに言葉が通じず、それぞれの国の文化や伝統のことも知らなかったのですから。

 今日では、握手するのは当然のことと考えています。しかし1854年当時、おじぎによるあいさつに慣れていた下田の人たちにとって、握手の習慣は奇妙に見えたに違いありません。物見高い村人たちが集まってきて、サスケハナ号の乗組員が演奏する音楽を聴いたと聞いています。この時の西洋音楽も、村人たちにとっては聞き慣れないものだったに違いありません。

 言葉や文化の壁にもかかわらず、アメリカの軍人と下田の村人たちは意思の疎通を図り、交流が始まりました。アメリカ人と日本人が日本で初めて出会ったころのこうした努力が、日米の深く豊かな友好関係の土台となったのです。4年後、米国と日本の政府は日米修好通商条約を締結しました。この条約により、神奈川、長崎など数カ所が開港され、祖国を遠く離れたアメリカの船に物資を供給しました。

 アンも私も歴史が大好きなので、下田市の石井直樹市長から今年の黒船祭にご招待いただいた時は、喜んでお受けしました。海を見おろす屋外で開かれた素晴らしいレセプションに出席し、壮観な打ち上げ花火を楽しみました。

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また、アンと私もすてきなパレードに参加させてもらいました。赤いオープンカーに乗り、下田市内を通り過ぎて行くと、まるで町中の人たちが総出で、私たちを歓迎してくれているようでした。沿道には市民の皆さんが大勢立ち並び、手を振って大きな声で出迎えてくれました。週末にこうしたさまざまな催しを開いて、下田で初めて出会ったころの不信感や疑念を乗り越え、温かく持続的な友好関係を築いた日米両国の先人たちの行動を記念するのは楽しいやり方だ、とアンも私も思いました。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

今年は「龍馬伝」が放映されているので、黒船祭も盛り上がったのではないでしょうか。156年前のペリー提督と下田の人々との出会い-想像すると感慨深いですね。

出会いでもうひとつ忘れてならないのは、その13年前にあった、ジョン万次郎がジョン・ハウランド号との出会いです。昨年、ニューヨークの日本商工会議所の25回記念アニュアルディナーで、ジョン万次郎とホイットフィールド船長のそれぞれの5世孫をゲストにお迎えしました。私は両家が160年間絶えることなく交流していたという事実に感動しました。国レベル、企業レベル、個人レベルとそれぞれのレベルで交流を続け、信頼関係を絶やさないことが大事だと、思いを新たにしました。

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