Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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父の日

(2010年6月18日)

私をひざに抱く父(1959年)

 「おコメも食べなさい、ジミー」。夕食時の父のこんな言葉で、私と父の意地の張り合いが始まったものでした。子供のころ、私には嫌いな食べ物が、たくさんありました。食べられるのはサラダや果物だけ、ということもありました。父の口癖は「好きでも嫌いでも、お母さんが作ってくれたものは、少なくとも2口は食べなさい。それまで食卓から離れてはだめだ」でした。このルールの影響を最も受けたのは、何にでも果敢に挑戦する姉や妹ではなく、私でした。6歳くらいの時、いつものように1人だけ食卓に取り残された私は、自分の皿をじっと見つめながらこう思いました。「お父さんが決めたこんなルール、絶対にばかげてる…」

 その晩の私は、特に意地っ張りだったに違いありません。けれど、辛抱強い父はあきらめず、私をなだめたり、すかしたりして、お皿からおコメをすくって2口食べさせようとしました。父は決して怒ったり、無理強いすることはありませんでした。その代わり、父はその晩、私を説得しようとしました。「日本の子供たちは毎日おコメを食べているんだ。だから、お前がおコメを嫌いなまま大きくなったら、日本に行った時に飢えてしまうかもしれないんだよ」。今でもはっきり覚えているのは、子供心にも、父の論理には全く説得力がないと思ったことです。「僕が日本に行くことは絶対ないのに、どうしてお父さんはおコメを食べさせようとするんだろう」。私が惨めな気持ちでそんなことを考えているうちに、おコメは冷たくなっていました。

 それから何年もたって、日本に暮らし、炊き立てのおいしいご飯を添えた素晴らしい和食を味わっていた時、突然、子供のころの、あの場面が脳裏によみがえってきました。父はとても優しくて辛抱強く、そして賢明でした。父から教えてもらったことは山ほどあります。お父さん、父の日おめでとう。親子で遠く離れていても、父の日のお祝いに、今夜はおコメのご飯を食べることにします。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

ジム様

素敵なお父様のお話ありがとうございます。きっとお父様はジム様の日本でのご活躍を解っていらしたのでしょう?

無理強いされることなく健やかに、愛され育ったジム様だからこそ互い思いやることを実行できる、辛抱強いお心もちでいらっしゃるのです。素敵なお父様 Happy Father's Day..And you..

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