Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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白川郷

(2010年7月27日)

 この前アンと私は、ユネスコ世界遺産のひとつ、岐阜県北部の白川郷に行ってきました。大変楽しい旅でした。絵に描いたように美しい、人里離れたこの集落には、青々とした水田や野菜畑に囲まれて、かやぶき屋根の「合掌造り」の民家が100軒以上残っています。私たちは、集落の中心部にある民宿に泊まり、かやぶき屋根の下での生活を、一晩だけとはいえ体験することができました。

 民宿では、おかみさんがいろりで煮炊きしてくれた、おいしい夕食をいただきました。山菜の天ぷら、アユの炭火焼き、エシャロット、キノコの朴葉焼き、豆腐、みそ汁、ご飯、それに漬物です。米も野菜も全部自家栽培で、山菜は近くで摘んできたものだと、おかみさんは自慢げに話してくれました。

 おいしい晩ご飯の給仕をしながら、おかみさんは、彼女のお母さんやおばあちゃんにとって、村の暮らしは決して楽ではなかった、と話してくれました。毎年冬になると、湿気を含んだ重い雪が降り、積雪は3メートルを超えました。そのため、かやぶき屋根や道路の雪かきは骨の折れる仕事だったそうです。毎年、お母さんとおばあちゃんは、いくばくかの収入を得るため、広々とした屋根裏でカイコを育てていました。カイコの餌には、山の斜面で育てたクワの葉を与えていたそうです。おかみさんの話では、カイコは独特の匂いがしたそうです。静かな夜、暗闇の中で布団を敷いて寝ていると、「カサカサ」とカイコが立てる音が天井から聞こえてきました。秋になると、仲買人が繭を買い取りに来ました。わずかな収入のために、たいそう手間のかかる仕事をされていたものだと驚きました。

 今では、高山から白川郷まで、バスでわずか1時間ほどです。でも、昔は交通の便が必ずしもこんなに良かったわけではありません。おかみさんは中学校を卒業すると、高山の高校に進学し、下宿生活を送ったそうです。当時は、細い山道を歩いて白川郷に戻るのに2時間半かかりました。そのため、帰省できるのは学校が休みの間だけでした。

 今、おかみさんのお子さんたちは毎日、整備された道路を通るバスで高山の学校に通学しています。白川郷に暮らす人々の生活は、昔に比べればずっと楽になっています。それでもこの村がその歴史を今に伝えていることを、アンも私もうれしく思いました。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

ジム様

「白川郷」TV画面でしか観たことのない日本、日本の伝統。ずっと伝えてゆくことができるものか?疑問です、 日本にしかないモノ、価値観は素晴しく奥深いものだと考えますが(申し訳ございません自画自賛)真の日本人、日本の趣をもった者は現在少ない。アメリカ人のジム様はよほど日本にご精通でいらっしゃるので、私たち日本人にその気持ちを気づかせてくださいます。自律日本人を目標に日々考え・行動・実行

ジム様、これからもご指導くださいませありがとうございます。よろしくお願いいたします

ジム様

きょうも素敵なお話ありがとうございます。ジム様と奥様、仲の好い景色にふっと心がほころんでしまい,嬉しくきょういちにちを幸福に感じます。

昨晩「e-Politics - Government and You」参加させていただきました。発想の転換やツールの有効活用 素晴しく興味深いセミナーでございました。 Ari Wallach様 木村忠正先生ありがとうございます。

また、ご享受いただけますこと心待ちにしております。世界中の皆が参加するe-Politics Governmentとなりますよう祈念しております。

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