Z Notes Blog by Jim Zumwalt
Z Notes Banner
都会のハイキング――日光御成道

(2011年9月30日)

 東京は古くからある都市なので、思いもよらないところで「隠れたお宝」に遭遇することがあります。この夏、私は都内の旧「日光御成道」沿いを、東京大学の本郷キャンパスから王子駅まで歩いてみました。

 暑さが厳しい日だったのですが、東大脇のイチョウ並木が心地よい木陰を作ってくれました。江戸時代に商人の町だったこの一画は今もなお、その頃の面影がそこかしこに見られます。回り道をして活気のある商店街を行くと、通りで遊ぶ子どもたち、ベンチに腰を下ろして外の空気にあたりながら、おしゃべりを楽しむおばあちゃんたち、そして自転車に小さなお子さんを乗せた、買い物帰りのお母さんたちを見かけました。商店街の皆さんは気さくな方ばかりで、ぶらぶら歩いていると「新鮮な果物はいかがですか」とか「ひと休みしてアイスコーヒーでもどうですか」という声があちこちからかかりました。

金色の彫像(写真上)と静かにたたずむ仏像(写真左)

 さらに北へ歩みを進めると、街の景色が一変します。江戸の昔、この辺り一帯はお屋敷町だったところです。途中、寄り道したのは都立庭園の「六義園」。ここは私の好きな日本庭園のひとつです。かつて豪商が所有していた庭園が今は一般公開されているとは、なんてラッキーなんでしょう。旧古河庭園にも足を運んでみました。これまで、私はアメリカからの来客を何人もこの2つの庭園にお連れしたことがあります。両庭園のこの上なく素晴らしい造園美を決まって喜んでもらえました。

旧古河庭園の洋館

 さらに北へ向かうと、交通量の多い4車線道路のど真ん中に小高い丘が見えました。そこで目にした案内表示には「西ヶ原一里塚」とありました。これは時の徳川将軍が、街道の道のりを示すために設置したものです。昔、江戸を起点とする街道の多くにはこうした一里塚が目印として築かれていたようです。でも今もそのまま現存するのはこの西ヶ原一里塚だけです。通りを渡って丘の上に出ると、私はそこであることに思いが至りました。もしも徳川将軍が今のこの時代にやってきて、この通りを走る何台もの「クルマ」や「バス」を目の当たりにしたら、何と思料あそばされるのやら…。

 道中、ほかにも小さなお寺や神社に何カ所も立ち寄りました。中でも私が特に気に入ったのは「お稲荷神社」です。王子駅のほど近く、なだらかな坂を上りきったところにあります。境内には、色とりどりの幟とともに、御神体の石狐が何体も祭られています。いにしえの昔からある街道。この街道沿いのいろいろな街並みが、王子駅に向かう坂道を下る私の脳裏に、走馬灯のように浮かんできました。

ではまた次回。

ジム

Embassy of the United States Embassy Main |  U.S. Citizen Services |  Visas |  Policy Issues |  State Department
Contact Us |  Privacy |  Webmaster