(2011年12月13日)
夕焼け色に染まるサンディエゴ港の桟橋 (Wikipedia photo)
私はサンディエゴの、太平洋とは目と鼻の先のところで育ちました。夏は両親がよく海へ連れて行ってくれて、日がな一日泳いだり波と戯れたりしたものです。寒過ぎて泳げない時には家族で海を眺めに行きました。たそがれ時には太平洋が沈む夕日に照らされてキラキラと光り輝き、大海原が黄色とオレンジ色と緑と青などの色がないまぜになった虹色に染まります。
ある日の夕方、家族で海に沈む夕日を眺めていると、まさにその瞬間、太平洋の向こう側では朝日が昇り始めているころだと、父が私に教えてくれました。それどころか、もしかしたら海の向こうでも、私とちょうど同じ年ごろの小さな男の子が東を向いて、同じ太陽が海のかなたから昇り、新しい一日の始まりを告げるのを見ているかもしれないとも話してくれました。
アメリカで太陽が沈むその瞬間にアジアでは太陽が昇り始めていると言った父の言葉の意味を、私は本当のところ理解していませんでした。でも太平洋の向こうに私とちょうど同じ年ごろの小さな男の子たちが住んでいると思うと、子ども心に何だかワクワクしたものです。父の話を聞いて、私はその「アジア」というところへ行って、同じ年ごろの男の子たちに出会ってみたいと思うようになりました。
私が日本に来ることができたのはそれから何年も経ってからのことでした。昇る朝日を太平洋のこちら側から初めて見た時、私はあのころの父との会話を思い出し、同じその時間にもしかしたらカリフォルニアの父も私の方に向かい、太平洋のかなたに沈む夕日を見ているのではないかと考えました。そんなふうに思っていたら、はるか遠く離れた日本で暮らしていても自分がカリフォルニアのわが家のとても近くにいるような気がしました。
ではまた次回。
ジム
ジム様
各国政府・全社会の皆様のご努力に感謝いたします。
ありがとうございます。感謝の気持をどう伝えてよいのか..言葉がみつかりません
ジム様
今朝ふたたびジム様のブログを拝読させていただき谷川俊太郎の「朝のリレー」という詩をかさねておもいおこしました。まさにジム様がご幼少の頃、遠くの国々を想ったような素敵な詩でございます。ジム様は「夕日のリレー」ですね。ありがとうございます。
ジム様
私も海辺で育ったので大変共感をもって読みました。英文は日本の中学高校生の学習に最適だと思います。いずれ試験問題に採用したいという申し込みがあるのではないでしょうか。寒くなりますのでご自愛下さい。