Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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思い出の大阪―日米は同じ舟に乗って

(2009年5月22日)

 1983年から85年まで、私は在神戸米国領事館(当時)の領事部で働いていました。神戸の領事館は関西全域を管轄していたため、大阪市へは頻繁に足を運びました。その時には、たこ焼きなど安くておいしいものを食べたり、暑い夏の夜に道頓堀に繰り出し、阪神タイガースの勝利にビールで祝杯を挙げたりしました。西宮市の甲子園球場まで足を延ばして高校野球を観戦したこともあります。こうしたたくさんの懐かしい思い出を胸に、先週再び大阪を訪れました。地元の政財界要人と会談して、米国と関西地方の関係を強化していくためにはどうしたらいいか、いろいろと意見交換をしてきました。

 最初に会ったのは、在日米国商工会議所関西支部の幹部の皆さんでした。印象的だったのは、こうした若く精力的なアメリカ人ビジネスマンが長年にわたる関西在住経験を持ち、卓越した日本語能力を備えている点でした。彼らは素晴らしいアイデアにあふれており、大阪経済、そして米国と関西の関係の未来は明るいと予想していました。大阪は、自分の会社を大きくして、大阪の繁栄のために役立ちたい、と思っている多くの若いアメリカ人起業家を引き付けてやみません。この点で、大阪は運が良いと思いました。

 次に、大阪商工会議所や関西経済同友会、関西経済連合会といった地元財界を代表する人たちとの会談では、逆境にあってもへこたれない、「ぼちぼちでんな」の精神が印象に残りました。彼らは皆、米国経済の状況に関する私の評価に関心を示し、大半が、オバマ大統領の景気刺激策で、米国の経済成長が早く回復することを期待していました。米国が立ち直らなければ日本の経済状況は改善しない、という声もありました。何人かの方からは、大阪の企業は、太陽光発電や省エネ技術といった分野で米国の企業と提携し、米国のエネルギー効率向上に力を貸したいと思っている、というご指摘を受けました。

 橋下徹大阪府知事ともお会いしました。橋下知事からは、大阪流の温かいもてなしを受けましたが、これは、2年間関西で暮らした私にはなじみ深いものでした。知事室では、すぐさま打ち解けた気分になれました。知事もまた、エネルギー効率の向上や二酸化炭素排出量の削減に向けた米国の取り組みで、先端技術を持つ大阪の企業が役に立てるのではないか、との考えをお持ちでした。さらに、米国経済の見通しにも関心を持っていらっしゃいました。

 日米両国の将来が緊密に絡み合っていることを、大阪政財界の要人は理解している、という印象を抱いて、私は東京に戻ってきました。米国が繁栄すれば日本も繁栄し、その逆もまた同様です。大阪の経済が早く回復してほしいと願う私の気持ちと同様、大阪でお会いした方たちもまた、米国経済の再生を望んでおられます。同様に、地球温暖化への取り組みも、協力し合うことで初めて成功することができます。今からもう25年も前のことになりますが、大阪市から招かれて、夕暮れ時に市内を流れる大川に舟を浮かべ、「天神祭り」の打ち上げ花火を見物したことがありました。先週大阪でお会いした地元政財界の方たちとは、経済と環境に関しては、日米両国は今も「同じ舟」に乗っている仲間だという点で、意見が一致しました。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

埼玉県の章子さんからのコメント:

先ほど意見を述べさせて頂いた者です。このように意見を伝えることの出来る場をご用意頂いているジム・ズムワルト氏に、感謝申し上げます。とても嬉しいです。ありがとうございます。

神田の電力会社社員さんからのコメント:

はじめまして 神田の電力会社社員です。時々大使館のブログを拝見していました。 臨時代理大使のブログを始めて 拝見しました。 日本文化に対する深い造詣を拝見し感動しています。

いさかいは 会話をしない 知り合わないことから発生します。お互いがお互いの生き方をとりあえずは尊重していけば・・ もの地球上の紛争は その過半が解決の方向に行くような気がします。

新大使が来られる由。 このブログも残り僅かでしょうが 日本に対する 忌憚の無いお話。日本人が直したらいいところ。 大使の 奥深いお話を期待しています。

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