(2009年12月22日)
今月、財団法人エイ・エフ・エス（ＡＦＳ）日本協会博多支部（福岡市）が、創立10周年を迎えました。この10年間にこの支部のボランティアの方々が受け入れた外国人留学生の数は28カ国から100人に及び、福岡からは地元の高校生62人を22カ国に送り出しています。私自身もかつてＡＦＳの交換留学生として日本で勉強していました。ですから、この記念式典に出席して、交換留学プログラムの重要性についてお話しし、ボランティアの皆さんの努力に感謝の言葉を述べることができて光栄に思っています。出席された150人を超える皆さんには、高校生の時に交換留学生として過ごした日本での１年間が私の人生を変えた、という話をさせていただきました。日本語を話せるようになったというだけではありません。人生で直面する困難を乗り越える内面的な強さが自分にもあることが分かったのです。日本での留学経験のおかげで、私が本当に必要としていた「自信」もつきました。
私は、交換留学プログラムを強く支持しています。こうした立場にある私が心配しているのは、海外留学を希望する日本人学生の数が急速に減少しているという事実です。米国の大学に留学している日本人学生の数はこの５年間で30％近く減り、1997年から98年にかけてをピークに減少傾向が続いています。また、米国以外の多くの国への日本人留学生の数も減り続けています。
私の日本留学も、多くの人たちの支えがなければ不可能だったでしょう。そもそも、私が海外に目を向けるようになったのは、両親の教えがあったからです。海外留学を考えてみるよう勧めてくれたのは学校の先生たちです。日本でお世話になったホストファミリーは、私を家族の一員として歓迎してくれました。私の通った日本の高校は、日本語での意思疎通能力が乏しいにもかかわらず、私を受け入れてくれました。さらに、日米双方で、本当にたくさんのＡＦＳのボランティアの方たちが、生徒の育成に寄与する、この素晴らしい交換留学プログラムの運営に携わってくれました。福岡の講演で、私は、今後も交換留学を支える力になっていただきたい、とＡＦＳの皆さんにお願いしました。というのも、彼らの活動が若い人たちに大きな影響を与えるからです。
当日、福岡では、地元の高校の校長先生、カウンセラー、先生方、生徒さんたち、ホストファミリーのお父さん・お母さん、ボランティアの方々、それに外国人留学生と日本に帰国した海外留学体験者など、150人以上が一堂に会し、この節目をお祝いしました。
私にとってとりわけうれしかったのは、海外留学を来年に控えている５人の日本人高校生に会えたことです。多くの点で、この生徒さんたちは、初めて日本にやって来たころの自分自身の姿に重なって見えました。海外留学というチャンスにワクワクしているように見えましたが、前途に待ち受ける困難にちょっぴり不安そうな面持ちでした。私もそうでした。感心したのは、彼らが勇気を持って大勢の前で真っ先に質問をしてくれたことです。彼らと話して、私が確信を持ったことがあります。それは、外国に住み、外国語を習得するという困難を乗り越えるだけの内面的な強さが、この生徒さんたちには備わっているということです。さらに、１年間の海外留学を終えて日本に帰ってくる時には、その後の人生を豊かなものにする、素晴らしい経験を携えているであろうことも、私は確信しています。
ではまた次回。
ジム
貴重な休日にもかかわりませず、ご講演にお越し頂きありがとうございました。ご講演内容は私達支部ボランティアへの励ましのお言葉に聞こえ、また、派遣生には、留学に際しての指針になったと思います。今後も微力ではありますが、「異文化体験をすることでお互いを理解し、平和を願う」ＡＦＳ理念のもと、点から線へと繋げていけるよう頑張りたいと思います。本当にありがとうございました。
福岡県立城南高等学校の田川と申します。先日は講演会に参加させて頂き、ありがとうございました。
ご講演の中で最も共感したのは、「国内外を問わず、外に出ようとしない子どもが増えている」という部分です。高校生に日々接する中で実感していたことでした。
異文化交流を通して視野を広げることは、国際化社会を生きる上で必要となるだけでなく、ひとりの人間として成長する上でも欠かせない要素であると思います。本講演を拝聴し、このことを再認識できました。
生徒たちの興味・関心を喚起する働きかけの一つとして、AFS等の留学プログラムや異文化交流の場を実践の場として紹介していく所存です。 今後ともよろしくお願い申し上げます。
