Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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ゲストブロガー ジェイミー・ローン

(2010年1月15日)

 昨年、在日米国大使館政治部のジェイミー・ローンが、アフリカ系アメリカ人の歴史について大使館職員に話をしたことがありました。その内容にとても感銘を受けたので、ジェイミーに、ゲストブロガーとして、マーティン・ルーサー・キング博士の誕生日に寄せて何か書いてくれるようお願いしました。

ジム


英雄たちをたたえて

キング博士が有名な「私には夢がある」というスピーチをしたのは、1963年8月28日、ワシントンDCのリンカーン記念堂でのことだった

 先月、公民権運動の偉大な指導者の1人であるマーティン・ルーサー・キング・ジュニアについて、世田谷区にある日本大学文理学部の学生たちと議論する機会を持ったのですが、その際に、キング博士のメッセージは無限の意味を持った、時代を超越したものであることを実感しました。米国では、キング博士とその業績をたたえ、1月18日の月曜日は祝日となっていますが、私たちは自由にキング博士の言葉を解釈することができます。また、いつでも自由に彼の偉大さを称賛することができますし、友達になった人には誰にでも、自由に彼の考え方を伝えることができます。彼の生涯は多くの人たちにとって、いろいろな形で、とても大きな意味を持っています。日本大学の学生たちのおかげで、キング博士が世界中でどれほど評価されているかということを理解することができました。

 公式に「公民権運動」の時代とされる期間の数年後に生まれた私にとって、キング博士が求めていたものは、何にもまして、すべての人々の参加だったように思われます。誰もが公正と平等を求める歴史の長い行進に参加しました。そして誰もが、今後もその努力を続けていく責任を負っています。誰もが英雄の役割を担いました。私たちは、フィリス・ウィートリー、ハリエット・タブマン、アイダ・B・ウェルズ、そしてフレデリック・ダグラスについての本を読み、人種分離政策の法的根拠を覆したサーグッド・マーシャルや、アラバマ州でバスの白人優先席から動くことを拒否したローザ・パークス(この行為が最終的には人種分離法である「ジム・クロウ法」の廃止につながりました)について学びます。米国のプロ・スポーツから人種差別をなくしたジャッキー・ロビンソンや、地方の人種分離法や慣習に異議を申し立てた、アフリカ系アメリカ人、白人、アジア人、ヒスパニック系のフリーダム・ライド(公共交通機関での人種差別の撤廃を要求してバスなどに乗り込んで南部諸州へ押しかけた示威運動)参加者についての話も聞きます。

日本大学の学生たちと

 しかし、マーティン・ルーサー・キング・デイの祝日は、無名の英雄たちのことも思い出させてくれます。つまり、この国をつくり上げることに貢献した両親たち、祖父母たち、先人たちのことです。私の両親と祖父母は、バージニア州リッチモンドの人種分離政策を行っている地域で育ちました。そこでは、水飲み場、プール、公衆トイレ、食堂、病院の待合室、映画館、レストランのカウンターなどが人種ごとに区別されていました。私の母は、ウールワース・デパートで白人と別の場所で食事し、ロウズ映画館では白人と別の部屋で映画を見たことを覚えています。教師だった私の祖母は、最後まで教職員の人種差別をなくさなかったバージニア州ノーフォークの小学校に転任したこと、そして地元の大学への入学を禁止されていたことを覚えています。誰にでも語るべき物語がありました。誰にでもこうした経験がありました。人種や経歴に関係なく、すべての人々が協力して社会不正、不公平、不平等を正すべきだということを、彼らは教えてくれました。

 私たちの前の世代の人たちには計り知れないほどの恩義を感じています。彼らの努力のおかげで、私たちの世代では、教育の機会が増し、社会的流動性も高まり、より深い心の安らぎを享受することができ、選挙権も無条件に与えられています。キング博士が生まれた1月15日に、私は、先人たちへの感謝の気持ちを表すとともに、彼らからの贈り物を後世に伝えていくことを誓います。

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