Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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航空宇宙産業での日米協力

(2010年6月25日)

三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所で(前列右から2人目が私)

 先日、在日米国商工会議所(ACCJ)の役員らと共に、三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所を訪れました。同社の複合材主翼センターでは、米国ボーイング社の次期主力旅客機「B787」向けの主翼の製造・組み立てを見学しました。およそ1000人の三菱社員が製造に従事する主翼は、従来に比べずっと軽量で効率も良く、新型旅客機の燃費向上につながります。この主翼に使われている複合材を製造しているのは「東レ」です。工場内を歩いて行くと、片翼だけで全長30メートルもある主翼を作る工場には、極めて多大な設備投資が必要なことが分かりました。

 三菱重工とボーイングの協力関係が始まったのは今から30年前のことです。当時、両社は「B767」型機の生産で協力していました。その10年後、ボーイングと三菱重工は協力関係を強化し、三菱重工がボーイングのワイドボディ機「B777」の機体後部の製造を開始しました。長年にわたる、こうした産業協力の歴史を背景に、両社は5年前、新型旅客機「B787」の共同開発で合意しました。また、ボーイングはこの大型プロジェクトで、富士重工や川崎重工とも幅広く協力しているそうです。そのため、「B787・ドリームライナー」は、その機体の製造に必要な資源の35%以上が日本で生産されることになります。

 また、座席数が70~90席の次世代中距離旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の開発現場にも足を運んでみました。MRJは2013年に納入開始予定です。三菱重工はこのプロジェクトで、米国の数多くの航空宇宙関連企業と緊密に協力しています。例えば、搭載する高効率ジェットエンジンは米国企業のプラット・アンド・ホイットニー社製です。MRJを開発・製造する三菱航空機の江川社長から伺った話では、MRJの製造に必要な資源の60%以上を米国製品が占めるそうです。機体の実物大模型を見ましたが、座席の座り心地は非常に快適でした。

 三菱重工の工場を後にする際に、日米産業協力の素晴らしい実例であるこのプロジェクトについて、さらに深く考えました。ボーイングがB787を1機売るたびに、日本国内に雇用が生まれます。三菱重工がMRJを売ると、米国製品への需要も生まれます。航空宇宙部門は、日米両国の企業間協力の好例ではないでしょうか。

ではまた次回。

ジム

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