Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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竿燈まつり

(2010年8月24日)

 「どっこいしょー、どっこいしょー」という群集の掛け声。大太鼓を打ち鳴らすリズミカルな音。そして歯切れよい笛のメロディー。「竿燈まつり」の参加者たちは、こうした音に合わせ、いくつものちょうちんを段重ねした、見上げるほど高くそびえ立つ280本以上もの竿燈を持ち上げます。竿燈は大きいものだと、ちょうちんの数が46個、重さが50キロ以上、高さは12メートルを超えます。この竿燈を、差し手の若者たちが巧みに操っていました。

 秋田日米協会からこの素晴らしいお祭りにご招待いただいた時は、アンも私も喜んでお受けしました。差し手の活気と力強さを感じるには自分の目で見るのが一番、というのもうなずけました。重量のある竿燈を、手のひらや額、肩、それから腰(!)に乗せてバランスをとる妙技には、ただあぜんとするばかりでした。視線は真っすぐ上に向け、竿燈の先端部に取り付けた「御幣(ごへい)」という神の宿る形代(かたしろ)のわずかな動きも見逃さないようにします。この形代で風向きや竿燈のほんのわずかな傾きも分かるのです。

 案内してくださった方の話によると、このお祭りには毎年130万人以上もの見物客が訪れるそうです。これは、秋田市の人口の4倍近くになります。竿燈まつりが始まったのは今から250年以上も前のことで、健康や五穀豊穣を祈願する祭礼がその原型です。揺れ動く竿燈やちょうちんを見ていると、まるで風にそよぐ稲穂のようでした。

 私たちのすぐ目の前には小学生たちのグループがいて、ちょうちんの数が24個という、だいぶ小さめの竿燈のバランスのとり方を練習中でした。大人たちとおそろいの法被に身を包んだ子供たちでしたが、どこか自信なさげに見えました。この子たちが手にしていた竿燈は、何度も地面に接触し、ちょうちんはかなり傷んでいるようでした。

 それでも、子供たちのそばには、見守るお父さんたちやお兄さんたちの姿があり、大きな声をかけて励ましたり、たびたび竿燈が倒れそうになると、すかさず駆け寄っては支えて真っすぐにしてあげていました。きっと、熟練した大人の差し手たちも、子供のころはこんな風に教わり、難しい持ち方を身につけたに違いありません。真夏の秋田で触れた素晴らしいお祭り。この無形文化財を、上の世代が熱心に次の世代に伝える場に立ち会うことができて、本当に良かったと思いました。

 竿燈まつりにまだ一度も行かれたことがない方は、この祭りの興奮をうまくとらえたこちらのビデオ をご覧ください。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

いつも興味深く読んでおります。

竿燈祭りで秋田にいらしたのですね。秋田の名物といえば花火もあります。明日28日(土)は大曲で大変素晴らしい花火大会があります。東京湾の花火を堪能なさったとのことですが、それとはまた違ったものですので、テレビ中継もあることですし、是非ご覧ください。

励みになるコメントをお寄せいただき、どうもありがとうございます。もう何年も前のことですが、大曲の花火大会は、私も実際に見たことがあります。とても感動的でした。

わたしはこのような祭事を拝見すると、季節とのコラボレーションよりも、農民一揆のほうを思ってしまいます。なんとか、季節とのコラボレーションを意識したいのです。

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