(2010年9月3日)
松井久子監督の新作映画「レオニー」は、教育者、編集者、そしてジャーナリストとして20世紀初頭を生きた、あるアメリカ人女性の生涯を描いたものです。その女性とは、世界的に高い評価を受けている日系アメリカ人芸術家・造園家であるイサム・ノグチの母、レオニー・ギルモア。20世紀初めには、教育のある女性の役割に制約が課せられていましたが、レオニーはそうした制約を受け入れず、自分で決めた道を歩むことにしました。
この映画は、レオニー・ギルモアと日本人の詩人、野口米次郎との関係を描いています。舞台はニューヨーク。レオニーは野口の作品を編集し、後にベストセラーとなった彼の小説の出版を支援します。やがて2人は愛し合うように。しかしレオニーが身ごもると、野口は彼女を残し日本に帰国してしまいます。
レオニーはロサンゼルスで男の子を出産しますが、混血児を産んだ未婚の母として世のそしりを受けます。結局レオニーは、息子のために日本へ渡り、そこで10年以上暮らしました。しかし、明治時代の日本での生活もまた、一途で自立心の強いアメリカ人女性にとっては困難の連続でした。
アンも私も思ったのですが、外国人女性が見た明治時代の日本を描く数々のシーンは、私たちが初めて日本に来たころに体験した驚きを如実に表現していました。また、松井監督ご自身も、女性であるがゆえの経験を生かし、日米2つの社会でジェンダーによる既成概念を乗り越えたレオニーの精神力の勝利を共感を込めて描いたのではないか、とも考えました。
2つの国の文化の架け橋として異文化の間に生きた草分け的存在であるレオニーを描いた松井監督のこの作品を、日本でも米国でもたくさんの人に見てほしいと願っています。この素晴らしい映画をご覧になったら、ぜひ感想を聞かせてください。
ではまた次回。
ジム
ジム様
「レオニー」女性が女性らしく生きたさま興味深い映画でございます。感想はまた.. ありがとうございます。