Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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映画

(2010年12月7日)

 映画は、何十年もにわたりアメリカ文化の中心的存在でした。今からおよそ100年前、少数の起業家たちが西部に移り住み、米国初の映画撮影所を設立しました。この場所こそがハリウッドです。映画は、南カリフォルニア出身の私の人生の中で特別な位置を占めています。その娯楽性だけでなく、ほかにも理由があります。それは、銀幕に見慣れた場所が映し出されるからです。

東京国際映画祭のステージで自らの映画での経験について語る渡辺謙さん(右)

 「卒業」という映画のワンシーンで、ダスティン・ホフマンが家から出てくる場面があります。実はこの家は、私が当時通っていた大学の寮から目と鼻の先にありました。それから「お熱いのがお好き」では、マリリン・モンローが浜辺で戯れる場面があります。ここも実は、家族でよく行ったサンディエゴの海岸でした。

聴衆からの質問に答える渡辺さん

 日本の映画産業もその歴史は古く、米国の筋金入り映画ファンたちの間では、日本人監督の作品が高い評価を受けています。例えば、溝口健二や小津安二郎、そして黒沢明などです。私がまだカリフォルニア大学バークリー校の学生だったころ、日本語の先生であるフランシス・モトフジ教授から、授業の一環として、日本映画を週に1本見るという宿題が出されました。教授に促されたおかげで、「七人の侍」や「東京物語」など、日本の古典映画の名作を何本も見ました。同級生たちは時々、日本語の会話の意味が分からずに苦労していましたが、日本の偉大な監督や俳優やプロデューサーの作品を見ることで、日本での生活への理解を深めることができる、と教授から言われました。

舞台裏で渡辺さんを囲んで

 ところで、アンと私は先日東京国際映画祭に出かけ、俳優の渡辺謙さんのスペシャルトークショーを聞きました。2人とも大感激しました。渡辺さんは、ハリウッドに進出した日本人俳優として、「ラストサムライ」や「インセプション」など数々の映画作品の制作に関わったご自身の経験を語りました。「クリント・イーストウッド監督をとても尊敬している」と、渡辺さん。同監督は「硫黄島からの手紙」という作品で、旧日本軍の生活を描くに当たり、とても細かい点に注意を払いました。日米両国の映画制作の伝統には共通点もあれば相違点もあるが、その違いからお互いの映画産業が影響を受けている、と渡辺さんは指摘しています。

 日米両国の若い学生さんたちも、私の大学時代の恩師の助言を心に留め、お互いの国の映画をご覧になってはいかがでしょうか。映画鑑賞は新しい文化を学ぶ格好の教材です。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

-筋金入り-

現在何人の日本人がこの言葉を分かるでしょうか?ジムさんは、筋金入りの日本語使いです。恥ずかしながらジムさんのブログで日本語を再確認しています。

ジム様

ジム様、アン奥様のご覧になられた映画で国籍を問わずイチバンお好きな映画はなんですか?わたしは「ショーシャンクの空に」ティム・ロビンスの強い自分、諦めず考える姿勢に感動します。 俳優では、エイドリアン・ブロディが大好きです。

音楽好きのアンのお気に入りのアメリカ映画は「オズの魔法使い」です。私は筋立てが巧みで俳優の演技も素晴らしいので「カサブランカ」が好きです。日本の映画では、ふたりとも「タンポポ」や「マルサの女」など伊丹十三監督作品が好きです。ユーモアや社会風刺が効いていて素晴らしいと思います。

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