Z Notes Blog by Jim Zumwalt
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スリッパ

(2011年6月7日)

 「おはしは使えますか」。これは「ご出身はどちらですか」に次いで私が日本でよく聞かれる質問です。

 今でもはっきりと思い出しますが、私が初めて日本に来た頃、はし使いをマスターするのに苦労しました。つかみどころのない豆腐をつかむのは割りばしでさえ大変なのに、値の張る漆塗りのはしでとなると、それはもう至難のワザでした。お世話になったホストファミリーのお母さんは、1本のはしを親指の付け根と薬指の間に挟んでしっかりと押さえ、その上に添えたもう1本を親指と人差し指と中指で動かす方法を辛抱強く教えてくれました。数週間かけて練習し、かなりうまくなりました。今では食事の時にためらうことなく、はしを使うようになりました。

 けれどもマスターするのがもっと難しい日本の習慣が他にもあることが分かりました。それは「スリッパ」の履き方です。日本人は家で靴を脱ぎますが、これは私も日本に来る前から知っていました。日本の家屋には「玄関」と呼ばれる小さな部屋があり、家に上がる時にここで靴を脱いでそろえておくことも知りました。そして自宅にお客さんが上がる時に、お迎えする側が「スリッパ」を用意することも知りました。スリッパを履く習慣のこの部分については分かりやすいものでした。玄関を見れば、外履き用の靴から上履き用スリッパに履き替えなければいけないと思い出すことができたからです。

 ところが、スリッパを履く時の決まりごとにはほかにもう2つあり、これがさらに厄介でした。そのひとつが、廊下から畳の部屋に入る時はスリッパを脱ぐことでした。トイレ用のスリッパはもっと厄介でした。トイレに入る時は上履き用スリッパを脱いでトイレ用スリッパに履き替える。このことは分かっています。逆にトイレから出る時はトイレ用スリッパから上履き用スリッパに履き替えなければなりません。でも私の場合、たいていは急いでいるので、履き替えるのをうっかり忘れてしまうことが時々あります。今も忘れられないのは旅館でのことです。その旅館内を歩いていると、すれちがう人たちが私の足元をじろじろと見ているではありませんか。私もふと目を下に向けると、恐ろしいことに、英語ではっきり「TOILET」と書かれている白いスリッパで旅館で歩き回っていることに気がつきました。顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしました。

 ともかくスリッパより、はしの方がマスターするのはずっと楽ですね。

ではまた次回。

ジム

COMMENTS

ジム様

習慣とは根強いものですね?重ねてジム様が旅館の中をトイレ用のスリッパをぉ~?
スリッパは外国からきたものとおもわれますが?異文化の微笑ましい体験ありがとうございます。
心がほぐれてしまうようなお話でした。

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